テニスのダブルスは、個々の技術だけでなく、チームとしての連携や戦術が非常に重要です。たとえ各選手がシングルスで世界トップクラスの実力を持っていても、連携が取れないことで連携がスムーズな格下のペアに勝利することは難しくなることがあります。
ダブルスでは、プレーヤー同士のコミュニケーションが試合の鍵を握ります。試合中の瞬時の判断や、相手の動きに対応するための呼吸を合わせることが求められます。例えば、ネットプレーにおけるボレーのタイミングや、ロブを打たれた際のリカバリーの動きなど、細かな部分での連携が重要です。シングルスの試合では、自分一人の判断でプレーを進めることができますが、ダブルスではパートナーとの連携が不可欠です。
また、ダブルス特有の戦術も存在します。Iフォーメーションやオーストラリアンフォーメーションといった配置は、相手のサービスゲームを崩すための重要な戦術です。これらのフォーメーションは、両選手が練習を重ね、お互いの動きを理解し合うことで初めて効果を発揮します。トップレベルの選手でも、ダブルスに慣れていないとこれらの戦術を効果的に使いこなせず、逆に混乱を招いてしまうことがあります。
精神的な相性も無視できません。二人の選手が同じ目標に向かって協力し合うためには、互いの信頼と理解が必要です。シングルスの試合では、プレッシャーや緊張感を自分一人でコントロールすることが求められますが、ダブルスではパートナーとそのプレッシャーを分かち合うことになります。
お互いを励まし合い、ミスをフォローすることが、試合の流れを大きく左右します。どんなに技術的に優れていても、心理的な面での連携が取れないと、試合で力を発揮することが難しくなります。
特にネットプレーの技術は重要で、リターンゲームでのネットダッシュや、ボレーの応酬など、瞬時の判断と反応が試されます。シングルスの選手がダブルスに適応するためには、これらのスキルを磨く必要があります。加えて、サービスゲームでも、相手のリターンを予測し、パートナーとのポジショニングを調整することが重要です。これらのスキルを身につけるためには、練習と経験が不可欠です。
シングルスの試合では、一人でコートをカバーしなければならないため、スタミナが試されます。しかし、ダブルスでは二人でコートをカバーするため、より戦略的に体力を使うことができます。そのため、長時間のラリーや緊迫したタイブレークにおいて、どのように体力を配分するかが重要になります。トップ選手でも、これをうまくマネジメントできないと、終盤での失速につながります。
このように、テニスのダブルスは、単に個々の技術だけでなく、チームとしての連携や戦術、精神的な相性、特有のスキル、体力の使い方など、多くの要素が絡み合って成り立っています。たとえ世界トップクラスの選手でも、これらの要素をうまく融合させなければ、連携がスムーズな格下のペアに苦戦することは避けられません。そのため、ダブルスの試合では、選手同士の信頼と理解、そして綿密な練習が何よりも重要なのです。